これぞ真骨頂!在留資格「特定技能1号」は介護分野のためにある!
2019年4月に新たに創設された外国人在留資格である「特定技能1号」この資格の目的は「⼈⼿不⾜対応のための⼀定の専門性・技能を有する外国⼈の受⼊れ」です。
この特定技能1号は、深刻な人材不足のある介護分野のために創設されたと言っても過言ではありません。今まさに人手不足の真っ只中にある分野ですね。
日本政府は、2023年度末までの5年間に6万人の外国人介護職の方々を受け入れる方針で、今後多くの外国の方が日本で就労していくことになります。
この記事では、外国籍の方々が日本で介護職として働くための在留資格「特定技能1号」について、わかりやすく解説しています。
日本の介護分野についてのおさらい
総人口が減って、高齢者が増えていく
令和元年現在、日本はこんな感じです。
言わずと知れた「少子高齢化」、もう流行語にでもなりそうなくらいよく聞く言葉です。
内閣府の「高齢社会白書(令和元年版)」によると、
2050年あたりから人口が1億人を下回り、
2065年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になる、
とのことです。
そして「介護保険」という保険ができてから、介護の分野の需要がどんどん伸びてきて、介護職に携わる人たちの数も16年間で3.3倍に増加しました。
が、そのうちの約7割くらいの人が3年未満で仕事を辞めてしまいます。
これには様々な理由があります。
介護職を離職する主な理由
- 人手が足りない
- 職場の人間関係が悪い
- 理念や運営のあり方への不満
- 他に良い仕事、職場があったため
- 仕事内容のわりに賃金が低い
- 自分の将来の見込みが立たなかったため
このような状況ででてきたのが、
介護が必要な高齢者の方々が増えているにもかかわらず、
介護をする人材がいなくて生じる「介護難民」、
65歳以上の人が65歳以上を介護する「老老介護」、
認知症の人が認知症の人を介護する「認認介護」、
家庭内や老人ホームなどで高齢者を虐待する「高齢者虐待問題」などの問題です。
医療技術が進歩して寿命がのびたり、核家族化が進んだりと様々なことが原因で起こってしまった深刻な問題です。
そこで政府が打ち出したのが「特定技能1号」として外国人を受け入れようという方針です。
外国⼈介護⼈材受け入れのしくみ
外国籍の方に介護分野で働いてもらうしくみは、新設された「特定技能1号」だけではなく、以前からもありました。
介護におけるEPA(経済連携協定)
インドネシア、フィリピン、ベトナムの3ヶ国と日本は、
EPAと呼ばれる協定を結んでいます。
この3ヶ国には、日本の介護福祉士候補者として、
その国の国民を認定する特別なしくみがあります。
各国の政府が認定すれば、日本はその人を受け入れ、
介護福祉士養成施設(2年以上)や介護施設等で就労・研修(3年以上)し、
国家資格である「介護福祉士国家試験」に合格すれば、
日本の介護福祉士として仕事ができます。
在留資格「介護」
2017年9月1日から施行されたこの資格は、まずは「留学生」として日本に入国し「介護福祉士養成施設」で2年以上研修をしたのち「介護福祉士国家試験」に合格することで、介護士として働くことができます。
この資格は、資格を持っている外国人の家族(配偶者や子)を母国から連れてくることができ、在留期間更新の回数に制限がなくなるため、半永久的に日本に滞在することができるようになります。
介護技能実習
上記の在留資格「介護」の枠が施行された2ヶ月後、2017年11月1日から施行されたこの枠は、まずは実習生として入国し、介護施設などで働きます。
本来は日本で身につけた技能を母国で活用することを目的とするため、実習が終わったら帰国しなくてはいけません。
ですが、入国5年後の技能試験に合格し、さらに「介護福祉士国家試験」に合格すれば、技能実習生としてではなく、在留資格「介護」のステータスとなり、働くことができるようになります。
特定技能1号
2019年4月1日に新しく新設された資格です。
技能実習生とは異なり、受け入れ機関が直接契約、採用することができ、5年間を上限に就労することができます。
また、入国後3年が経過した時点で「介護福祉士国家試験」に合格すれば、
特定技能1号としてではなく、在留資格「介護」のステータスとなり、
日本で働くことができるようになります。
特定技能では、手続きを登録⽀援機関に委託することができるので、申請も簡単になります。
今後は、この「特定技能1号」による申請が主流となってくるでしょう。
外国人の受け入れが必要な介護分野について、外国人・介護人材の基準や介護スキルテスト、日本語試験について詳しくまとめています。
外国人を雇って見たいけれど、どうして良いかわからない。そんな時の強い味方となってくれる登録支援機関の役割や探し方をまとめています。
それぞれの制度の比較
制度名 | EPA(介護) | 在留資格介護 | 介護技能実習 | 特定技能1号 |
---|---|---|---|---|
資格名 | 特定活動 | 介護 | 1年目 技能実習1号 2〜3年目 技能実習2号 4〜5年目 技能実習3号 | 特定技能1号 |
目的 | 介護福祉士の国家資格取得 | 専門的・技術的分野への受入れ | 日本から相手国への技能移転 | 人手不足対応 |
在留期間 | 介護福祉士取得前 原則4年 (条件により5年) 介護福祉士取得後 制限なし | 制限なし | 1号:1年以内 2号:2年以内 3号:2年以内 最⻑5年 | 最⻑5年 |
日本語能力 | インドネシア フィリピン 現地 6か月研修 入国時 N5程度 入国後 6か月研修 ベトナム 現地 12か月研修 入国時 N3以上合格 入国後 2.5か月研修 | 次のいづれか N3以上合格 認定機関で 6か月以上教育 かつ、入学選抜で N2相当確認 日本留学試験の 日本語科目で 200点以上 BJTビジネス 日本語能力テストで 400点以上 | 入国時 N3程度が望ましく N4程度が要件 入国から1年 (2号移行時) N3程度が要件 | 入国前の試験等で下記の日本語能力水準を確認 ・ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力 ・介護の現場で働く上で必要な日本語能力 |
国家試験の受験義務 | 必須 ・不合格でも一定点数以上で1年間に限り滞在延長後の再受験が可能 ※帰国後も「短期滞在」で再度入国し受験することが可能 ・受入事業所は、資格取得のための研修とその支援体制を整えることが必須 | 必須 ・平成29-令和3年度の養成校卒業者は卒業後5年間、介護業務に従事するか国家試験に合格すれば介護福祉士の資格を継続できる | なし(任意) ※介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更することが可能 | なし(任意) ※介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更することが可能 |
まとめ
人手不足を補うために、日本へやってきてくれる外国人の方々にも、働きやすい介護現場としていくことは、この分野の急務であることはいうまでもありません。
離職率が高い介護の分野で、外国人の介護士さんに早く職場に馴染んで、長くその職場で仕事を続けてもらうためには、制度、セミナー、相談窓口など、さまざまなリソースを活用していく必要があります。
今後ドリームワーカーのサイトで、そんな外国人介護士に役立つリソースもまとめていきたいと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。